既存銀行を凌駕し始めたブラジルのデジタル銀行

             銀行アプリのダウンロード比率 (%)

コロナ蔓延で巣篭り生活を余儀なくされながら、フィンテックのデジタル銀行が既存大手銀行を侵食している。支店を開設する必要もなく、手数料もなしで、新興勢力の急成長は止まらない。

UBS Evidence Lab によれば、2020年に初めてアプリのダウンロード数でデジタル銀行が既存銀行を超えた。2019年に52%が既存銀行、48%がデジタル銀行だったものが、逆転したのだ。

       デジタル銀行の市場シェア  (%)

デジタル銀行は2020年に6000万口座を超えたが、増加は加速の一途だ。

3400万人の口座を獲得している業界首位のNUBANKは、時価評価が250億㌦となり、XP, Stone, BTG, そしてブラジル銀行を凌駕し、NY市場でのIPOが検討されている。2位のNeonは1200万人口座を獲得しているが、65%の顧客が日常取引に利用しているという。消費者の銀行利用はまだ50%以上が現金によるもので、デジタル取引の成長余地はまだまだ大きく、急速だ。

中銀のオープンバンキングデジタル決済PIXの導入で、顧客囲い込みの銀行間の争いは激化している。顧客は通常、2つのデジタル銀行口座を持つが、口座開設が簡単なだけ、解約も簡単にする。INTERは、Via Varejo,Casas Bahia, Magazine Luiza と提携し、店舗での購入へのキャッシュバックをしている。これで2019年に800万人だった口座数を、今年末には1500万人に増加させるつもりだ。

寡占化が進み、大手銀行が金融を独占したことで、すべての手数料が引き上げられ、銀行は高収益を貪った。消費者は既存の大手銀行に恨みしか持たない。デジタル銀行は無料の手数料と簡便性で顧客を既存銀行から奪い取っている。

C6 Bankは2018年に金融界で働く25人のグループで設立され、営業開始は2019年8月だった。1年余りで口座開設数は400万人を超えた。

コロナ蔓延とPIXの導入は、デジタル銀行にとって追い風だ。今後の問題は、貸付だろう。顧客が保有する資金の移動の簡便性と手数料なしだけで利益を出して成長を続けるのは難しい。金融機関の本来の役割である貸付は、ぽっと出のデジタル銀行には荷が重い。

既存銀行も、デジタル分野での巻き返しを始めている。民間最大手のITAU は、ネット投資ブローカーの XP Investimento を傘下に取り込んだつもりだったが、XPがItauの優良顧客の横取りを始めたことで決裂し、デジタル銀行 ITI Itau を設立した。口座数はまだ300万人。ブラデスコは3年前から Next でデジタル対応をし、400万人の顧客を獲得している。

支店閉鎖と従業員整理で縮小均衡を図らざるを得ないブラジル銀行は、その努力もボルソナロの圧力に晒されている。昔ながらの官営銀行では、時代に対応できるわけもない。

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